絵を見るのが好きです。
自分で描くのは下手なのですが、祖父も父も絵を描く人で、小さい頃から油絵具の匂いや洗っても絵具のとれないシャツやタオルが身の回りにあったので、そんな環境のせいもあるかもしれません。

祖父は、二階の畳をはずしてアトリエにしていました。
油絵と日本画と両方描いていたので、床はさまざまな絵の具に染まってカラフルでした。
祖父の家に行くとみんなでアトリエに集まり、祖父の絵の品評会が始まります。
高い窓に緑と空が見える明るいアトリエでした。

でもとても散らかっていて、「片付けるとわからなくなる」と、祖父が掃除もさせなかったので、祖母があわててスリッパをかき集めてみんなに配っていました。

父も同じく自宅の二階をアトリエにしています。
わたしは実家に帰ると、油絵の具の匂いのする部屋で、父と並んで、ああだこうだ感想を話します。
親子の遠慮のなさに加えて、自分は描かない気楽さで、私の批評は至って辛口かつ無責任。
でも父は最後にいつも「いや、ありがとう、ありがとう」と言ってくれます。
心和む時間です。               (絵、安本洋子)(きなこ)

 

 ♪絵をクリックすると、「のうた」をお聴きいただけます。

 

https://www.youtube.com/watch?v=sKo66bpJ230&list=UUa030tIOyeM5LbDx_9FRZ9Q&index=35