会報より

わたしたちも入れていただいているパーキンソン病友の会という患者会では、年に4度、全国会報と県支部開放を計8冊発行していることを、前にこのブログでも書かせていただきました。

最新医療情報、会員さんの思いなどなど、さまざまなことが一冊に詰まった会報です。

今回の会報で、げんきなこのことも取り上げてくださいました。

作者は、このブログで素敵な絵をコラボくださっている安本洋子さん。

実際以上によく書いてくださっていて恥ずかしいのですが、でもありがたくて、とてもうれしかったので、このブログにも掲載させてください。

あらためまして、安本さん、ありがとうございました。(きなこ)

 

 

 

           げんきなこが歌います

                            安本洋子

皆さんがすでによくご存知の「げんきなこ」、わがパーキンソン病友の会広島県支部の支部長ご夫妻のライブを先日、久しぶりに覗いてみました。この頃はあちらこちらからのお声掛かりで、忙しく日本中駆け回っておられますが、お疲れはまったくみえません。

きなこさんのやさしくも明るいおしゃべりでスタートするお二人のライブは、いつのときも心地よくあたたかいものです。障害に苦しんでいる人たちやお年寄り、元気な子供たち、高校生や大学生、もちろん一般の人たちも。そういう人たちとノ出会いを通じて、それぞれの人たちの思いがけないやさしさやたくましさに出会える、それが一番うれしいことですと言われます。

お二人の歌を聴きながらわたしたちもきっと同じ気持ちになって心を動かされているのでしょう。

 

 遠く遠く沈んでいく 夕日追いかけて

 帰りたいと心の中 泣いた日もはるか

 ふるさとの母からの葉書は とりとめもなくて

 「元気でね」 いつでも終ってた

 

ご主人と喧嘩でもしたの?というつまらない想像しかできないわたしに、きなこさんはにっこりして言いました。ふるさとから遠く離れた東京で、仕事に没頭している夫の帰りをただ一人待つのは、心細かったですよということでした。

これはおふたりのデビュー曲です。生まれて間もない赤ちゃんをおんぶして、マンションのキッチンの窓から西の方向に空を見上げるきなこさんを想像します。きなこさんがまだ可愛い新妻だった頃のことです。夕食の準備をしていたきなこさんんは、夕日がすっかり落ちてしまう前の一瞬明るく輝く夕日を見て、若いときには誰にもあるセンチメンタルな気分になっていたのではないでしょうか。元気さんの巧みな演奏の間にところどころ小鳥のさえずりが聞こえます。飯の山あたりから聞こえてくるようです。デビュー曲は元気さんのパソコンを駆使した巧みな演奏ときなこさんの澄んだ美しい声とが奏でる愛の讃歌でもあり、ふるさとを同じくするお二人の望郷の歌でもあります。

 

お二人の音楽に大勢の人たちが涙をぬぐいました。しかしその涙は悲しいとか辛いとかのそういった涙ではありません。ご自分の前途に希望をたくさん描かれていた

元気さんが、想像もしなかった病を得て、順調であった仕事も断念されたこと、そして今、新しい夢の実現を目指して頑張っておられること、さらには時に力強く時に優しく私たちの心に響く元気さんの音楽への情熱、それらがひとつの大きな感動になって流れる涙なのです。

きなこさんの詞もあくまでも優しく、それでいて力強いのが私たちを元気づけてくれます。

さて、「島風」から5年、48曲もの歌をお二人は手がけられました。招待を受ければどんなに遠くても、元気よく車を走らせてお出かけになります。目的発見、確認、彩度良好、げんき出発。そのことがうれしくて、わたしたちはお二人にありがとうの拍手を、手にいっそうの力をこめて送らずにはいられません。

                         (絵、安本洋子さん)

 

     (♪絵をクリックしたら、「島風」をお聴きいただけます。)

https://www.youtube.com/watch?v=FjfhtYIZ1lU