移る、変わる

もう、少し前の話になりますが、子供の歴史の教科書を眺めていて『樽の発明で、流通が盛んになった』と書いてあり、驚いたことがありました。

 

私たちが教科書で見ていた頼朝像は別人だったかもしれないとか、今は『聖徳太子』ではなく『厩戸皇子』と書かれているとか、教科書の内容が、時代と共に変わるということがあるんですね。

昔私たちが必死で覚えた年号もいくつか変わっていて、『じゃあ、あの頃鎌倉幕府成立1185年、と書いてもらった人がホントは正解だったの?』と、一体歴史のテストって何?とちょっと考えこんだことがありました。

でも、「桶の発明」については、考えたこともなかったうえ、さらにそれが流通と関係あるなんて想像したこともなかったので、そうだなあ、そうだなあ、とひたすらナットク感心しました。

 木を組んだ桶が考案されるまでは、液体は陶器に入れて運ぶしかなかったけれど、割れにくくしかも軽い桶の発明で、リスクが少く遠くまで運べるようになり、流通が活発になったのだそうです。

 

桶の発明自体は、私が学生の頃から学者さんの間で知られていたのだと思いますが、その後、どなたか、桶と流通の関わりを考えつかれた歴史学者がいらして、ヘェ!、ガッテン!と定説になったのでしょうかね。

 

でも、先日テレビを見ていたら、桶づくりの後継者がいなくなっているという内容のドキュメンタリーが放送されていました。

お醤油もビールもお酒・・・も、今はペットボトルやアルミ缶やガラス瓶に入っていて、樽を見ることは稀です。

こんなふうに時代は移っていくのだなあ、みんな忘れていくのだなあ、と思いました。

 

今日は共通テスト2日目。

コロナの影響を大きく受けて、また心痛む事件も起こり、受験生たちは幾重にも気の毒だなあと思いますが、それぞれの実力が発揮されますように。

 

絵をクリックしていただくと、「明日香川ものがたり」をお聴きいただけます。

            (絵、安本洋子さん)(きなこ)