不器用

いつも母と一緒に歯科に通っています。

コロナでずっとお休みしていたのですが、父も母もワクチンを打ち、広島の感染者数も10人を下回ってきたので、一緒に歯科に行きました。

父と母と二人で島から出てきて、家で4人でお昼ごはんを食べて、母と私は歯科に行き、父はその間に庭の剪定、というのがお決まりです。

「ゆっくりしちょってよ」

と言うのですが、働き者の父は、ノンビリ、ということが出来なくて、歯科から帰るといつも汗びっしょり。

庭は、散髪したてのイガグリ少年のように、サッパリ剪定されています。

「まあ、きれいになちょるわー、ありがと、ありがと、暑かったじゃろ、中、入って涼んでちょうだい」

と言っても、

「いいや、ここがええ」

と、父はそのまま外でアイスを食べて、

「ちょっと休まんと帰りが眠うなるよ、事故するよ、中に入って、コーヒー飲みんさいね」

と言っても、

「だめだめ、お父さんは言い出したら聞かんの知っちょるじゃろ。

私が気をつけちょって、途中で休みなから帰るけぇ」

と母が言い、コーヒーも飲まず、二人で帰っていきました。

助手席から「元気でおりんさいよ」と言う母と、曲がり角で運転席の窓から手を振る父。

それもいつもと同じ光景。

元気でおりんさいよって、どっちのセリフかね、と、一人になった部屋でちょっとおセンチになっています。              (写真、yama-p)(きなこ)