変わらないためのエネルギー

 

先日、元気さんが釣りに行きました。
『いつもの場所は、釣れなくてオモシロクない』
というので、岩国まで足をのばしました。
国道から錦帯橋空港横を左折し、細い車道を海に向かえば、ズラリ並んだ車の列。
平日の昼間に、こんなに釣り人?
とおもいきや、人々が抱えているのは釣り竿ではなく、巨大なカメラ。
『あ、ハリアーだ』
元気さんが言う方を見れば、飛行場に鯨のように重そうな機体が、ゆっくりと浮かび上がり、管制棟と同じくらいの高さで止まると、そのまま静止しました。
宙に浮かんだままの機体。
上がりも、下がりも、進みもせず。
その光景は、ダリか誰かの不思議絵を見ているようでした。
胸を振動させるほどの轟音だけが、そこに巨大なエネルギーが存在していることを感じさせる静止した風景。

そういえば数年前にも同じ感覚を感じたことを、思い出しました。
能役者の道を歩く小学校の同級生の舞台を見せてもらったとき。
宮島の能舞台に立つというので見せてもらいに行けば、彼は主役の後ろに置物のように片ひざ立てて座っていて、いつまでも動きません。
正面を向いたまま、視線さえ動かない静止状態が、最後まで続きました。
すごい筋肉だなあ、と思い、動かないでいるために積み重ねた彼の修行の毎日を思いました。

変わるためのエネルギー。
変わらないためのエネルギー。

心臓にびんびん響く轟音を感じながら、変化しないためにも、凄い力が必要なことを思っていました。                (写真、yama-p)(きなこ)

 


  〔♪写真をクリックしたら、パーキンソンブルーをお聴きいただけます。〕   

 

https://www.youtube.com/watch?v=QuLIX1EW9oM&feature=youtu.be

 

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コメント: 2
  • #1

    しゅうじ (日曜日, 04 6月 2017 15:34)

    わっ、岩国最後のハリアーさんを見られたんでしょうか?あやつはその轟音をもってして私の中高時代の勉学に対する熱き?!エネルギーを度々萎えさせてくれました。なんちゃって、単なるいいわけですが、、、ホントその通り、変わるためのエネルギー、変わらないためのエネルギー、その総和は一定だなんて、なかなか実感の湧かない原理原則ですね~♪

  • #2

    きなこ (日曜日, 04 6月 2017 22:40)

    しゅうじさん、こんばんは♪
    そうなんですか、そんな思い出のある「音」なのですね。
    ほんとうに凄い轟音でした。ビンビンと体に響いてくるような「轟音」を、久しぶりに聞きました。聴覚は振り切れそうなのに、視覚は静止している違和感というか、不安定さというか、そのアンバランスがとても奇妙な感覚でした。
    でも、その轟音に中学生のしゅうじさんが集中力を途切れさせられて、教科書を放り投げている様子を想像すると、なんだかかわいいですね。