やさしく断って

 

「パーキンソン病の患者さんは、真面目で几帳面な人が多いですね」
これは、医師の先生方が、よく言ってくださるコトバです。
でも患者会のみんなで話しているのは「パーキンソン病の人って、美人が多いよね!」

 

Yさんも、その例にもれない美人。
青春時代のお写真を拝見したら、当時流行していたラッパズボンをスラリはいて、ケンとメリーのスカイラインにもたれかかり、ハリウッド女優か山本リンダかの八頭身と彫り深い顔立ち。
街を歩くたび、世の男性方をカックンカックンと振り向かせていただろうという想像に難くない美人でした。

で、そのYさんの話です。
「昨日ね、横断歩道を一人で渡るのが怖かったから、隣で信号待ちしていた男性に「一緒に渡っていただけませんか」とお願いしたのだけど、断られてね。」
パーキンソン病は突然身体が動かなくなる病気なので、信号が青のうちに渡らなければならない横断歩道は、渡るのに結構勇気がいるのです。
横断歩道の真ん中で信号が赤になって立ち往生した患者さんを、私も何人も知っています。
でも、気がつかないのは仕方ないけど、頼まれて断る人がいるんですか?
「いるよ、いるよ。今まで何度も断られたことあるよ」
「え~!そんなことがあるんですか
「あるある。忙しかったのかもしれないけどね。でも、断られるとやっぱりショックでね。心が立ち直るのに、しばらく時間かかるよ」
快活なYさんは、手押し車を押して、SOSカードを持って、毎日のように外出されていますが、そうか、そんなことがありながら外出されていたんだ。
 

 

「笑って許して」という歌がありましたね。
そうですね、時間がないときは、手が貸せなくても仕方ないですね。
私も猛ダッシュで、閉店間際の銀行や郵便局に向かうときありますから。
でも、Yさんの話を聞いて、やさしい一言を添えて断りたいなと思いました。
「やさしく断って」
昔、告白してフラレたときのキモチをちょっと思い出して。

                             (絵、安本洋子さん) (きなこ)

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    しゅうじ (火曜日, 31 1月 2017 06:52)

    SOSカードまだ見た事がありません。気づかなっただけかもしれませんが。フラれたのも相手の方が告白された事に気付いてなかったのかも!なことはないですかね( ◠‿◠ )

  • #2

    きなこ (火曜日, 31 1月 2017 21:08)

    なことはないでしょうが(笑)、そうなんですよね、SOSカード、まだ普及していないんですよね。それが問題。SOSカードは、広島の患者会発で作ったカードなんですが、今、カードをリニューアル中ですので、また出来上がったら、見てくださいね。ありがとうございます♪