股のぞき

股のぞき、というコトバを聞いて、その体勢を思い浮かべられる人、どれくらいいるのでしょうか?若い人は、股のぞきを知っているのかな?
朝刊の休日版に、股覗きについて載っていました。天橋立が股覗きの名所だといったことも書いてありました。

結婚して間もない頃、元気さんの渓流釣りを(に?)兼ねて、山陰の海沿いを北上する車の旅をし、そのとき、天橋立にも行きました。
わたしも股覗きをしてみました。
有名な観光地なのに人影がまばらなのが意外なほどだったのですが、股のぞきのポーズが気恥ずかしくて、辺りをキョロキョロ見回し、パッと屈んで、サッと覗いたような記憶があります。
恥ずかしいならしなきゃいいのに、している不可解さが自分らしいな、とも思うのですが、それでも人目が気になり、逆さに見た風景に感慨も感激もありませんでした。

股のぞきの思い出はもうひとつ。
小学一年生でした。
雨上がりの朝、山裾の道を登校していたら、山から野良犬がぞろぞろと出てきました。
前方10メートルほど。
種類も大きさも年もバラバラの野良犬が、十匹かそれ以上いたか。
この道を通って登校する小学生は私一人。
怖い、という恐怖心と、どうしよう、という強い不安が沸き上がり、そして同時に思い出したことがありました。父が話してくれた話です。
「犬は、股のぞきで見たら、怖がって逃げる」
今聞いたら、「本当かい!?」と思う話ですが、「地震、雷、火事、親父」という言葉が、まだかろうじて生きていた時代、まして私は一年生です。
父の話を思い出し、クルリと回って、股のぞきをしようかと思いました。
でも、敵に背中を向けるって怖いことなんですね。
ボス犬を頂点に三角形の布陣で、私に向かって「構え」の姿勢で勢揃いしている犬の群れを見たら恐怖心がまさり、私はクルリと向きを変え、一心不乱に、家に向かって走りました。
犬の群れは一斉に私を追いかけてきて、ほんとうに怖かった。
門に飛び込むと、庭に濡れた傘を干そうとしていた母がいて、血相変えて駆け戻った私に驚き、門を閉じ、傘を振り回して犬を追い払ってくれました。

どなたか、犬を飼っていらっしゃる方、股のぞきを試してみられたら、結果をお教えください。

「股のぞき」という懐かしい言葉で思い出した、懐かしい思い出2つでした。

                           (絵 安本洋子さん)
                             (きなこ)