義父のカーディガン

ずいぶん寒くなってきました。

シャツ1枚だったのが、その下にセーターを着るようになり、数日前からカーディガンをはおっています。

今、わたしが着ているのは、かなり大き目の茶色のカーディガン。

これは元気さんの亡くなったお父さんが着ていたものです。

 

義父が亡くなってしばらくして、元気さんの母は折あるごとに、少し遠慮がちに、「こんなのがあったんじゃけど、着れるのがあったら、着てもらえたらいいんじゃけど」と、義父が身につけていたものを見せてくれるようになりました。

スーツ、靴下、靴、杖、帽子・・・。

義父も元気さんと同じ「せごどん」体型だったとはいえ、元気さんの方が「少し大きいせごどん」なので、全部が全部入るわけではないのですが、たいていは「ありがとうございます!」と言ってもらって帰ります。

きっと元気さんのお母さんは、義父が身につけていたものを自分の手で捨てることができないのでしょう。

 

私は、物をためこむタイプです。

押入れの中には、子供たちが作った工作やよく似合っていた洋服など、今は子供たちさえほしがらないもの、あるいはもう何十年も着ていない私の母が編んでくれたセーターなどがたくさん入っていて、場所を占領しています。

日常にまぎれて、見ることもなく、しまったままの「私だけの宝物」ですが、たとえばもしも母が逝ってしまったら、わたしは一生自分でそれを捨てることができないだろう、と思うようになりました。

両親が元気な今なら、まだきっとできる。

今のうちに、処分しなきゃ。

 

そう思いながら、もういくつも季節が過ぎています。

                            (写真 yama-p)(きなこ)

 

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