雨の合間

今日一日、断続的に降っていた雨が、夜になってようやくあがりました。

幸いに、私の地域は何もなかったので、知らなければ何てこともないいつもの雨。

でも、今日は、早くやみますように、と待ち望んだ雨上がりです。

 

昨夕、思いがけず両親が玄関に立っていました。

「どうしたん!?」

驚いて言うと、

「明日はまた雨が降るらしいから、今のうちに届けとこうと思って」

そう言いながら、ぼん、と置かれた箱には、茄子とハランキョウと蕗と人参と・・・、野菜がぎっしり入っていました。

「また雨が降ったら野菜が傷んでしまうけぇね、今のうちに採ってしまっとこうと思ったんよ」

そして、もうひとつ、小さな保冷バックがあり、

「こっちには、お刺身がはいっとるけぇね。大丈夫とは思うけど、でも、もしも傷んじょると思ったら、おなかが痛くなるから、食べんさんなよ」

母はそういいながら、保冷剤がたくさん入ったバッグのファスナーをあけて、中のお刺身を一瞬、私に見せて、またすぐにファスナーを閉めました。

こんなお天気というのに、どこで獲ったのか、りっぱな鯛のお刺身でした。

お昼に法事があって、そのときに付いていたお刺身なのだと、母は言いました。

両親のことだから、野菜をわたしたちに届けるのと一緒にお刺身も持って行ってやろうと、箸をつけずに持ち帰ってくれたのでしょう。

 

こんな時間に来て。帰りは暗くなるじゃないの。どうしてー、

私がそう言うより先に母は

「怒りんさんなよ、年寄りは気が短いからね。思ったらすぐにそうしとるんよ」

と笑いました。

 

昔、教員だった父は、

「お帰り~お土産~」

と玄関に飛び出す小さい弟と私に、かばんの中からごそごそと、紙で包んだお菓子を出してくれました。

父がお菓子を持って帰ってくれることを当時は不思議に思っていませんでしたが、今思うと、教員室で配られたお土産やなんだかんだのお菓子を、父は食べずに持ち帰ってくれていたのでしょう。

 

こんなお天気の中。

法事が終って、疲れているだろうに。

80を過ぎた今でも変わらない両親。

そして変わらない、親掛かりの私です。

                     (絵、安本洋子さん)(きなこ)

♪絵をクリックすると、「のうた」をお聴きいただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=sKo66bpJ230

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    N (月曜日, 09 7月 2018 08:19)

    ご両親ともに80歳を過ぎてご健在でお出でになったのですか。それは幸せなことですよ。きっとご両親も雨の中無事なお姿を見て、安心しておかえりになられたことでしょう。

  • #2

    きなこ (月曜日, 09 7月 2018 12:01)

    ありがとうございますね。
    私もそう思います。
    みんな、みんな、どうか元気で長生きしてほしいと、自分が年を重ねるにつれ、深く思います。
    Nさんも、快適すぎる(スピードオーバー!)運転は、控えてくださいよ。(笑)