みい

亡くなった母の家には、ずっと猫がいました。

代々茶白の猫で、代々、名前は「みい」。

一度だけ、みいの子供だから、こみという名前の猫いましたが、1度だけで、また名前は「みい」に戻りました

エサも、当時はキャットフードなどはありもしませんでしたが、ご飯にお味噌汁をかけてもらったのを、みいは食べていました。

祖父はアラ汁をよく食べていましたが、食べ終わるたびに魚の骨を、ぽい、と足元のみいにやると、みいは首をよじりながら、ガシガシとあごに力を入れて食べていました。

もちろん、田舎の家ですから、みいは家の中も外も自由に出入りしていました。

 

これは、当時まだ結婚前で祖父母と一緒に住んでいた、とても猫好きな叔母から聞いた話です。

眠っていた叔母をみいが起こすので、なんだろう、と思って灯りをつけて見たところみいがネズミを捕まえていたそうなのです。

「もう、びっくりしてね。夜中のことではあるし、怖くて。

でも、みいは、わたしにほめてもらおうと見せにきたんだからと思って、「よくとったね」と頭をなでてやったんよ」

私がその話をきいたのは、小学生の頃でしたが、ひっくり返るほど驚き、そんなことができる叔母を尊敬もしそして、猫を飼うって、そういうことなんだなあと思ったことを覚えています。

 

この強烈な幼児体験のせいで、というわけでもないのですが、この年になるまで、まだ私は、一度も猫も犬もったことがありません。

                (絵、安本洋子さん)(きなこ)

♪絵をクリックすると、「飯の山」をお聴きいただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=NZnQ-4NVQRk