突き抜ける

今日、患者仲間の0さんからお電話をいただきました。

「沖縄に行ってきたのよ」

Oさんは、83歳。

今年の春、似顔絵作家の大上さんと三人で、患者会の1年一度の大会の帰りに、東京近郊のOさんのご自宅に遊びに行かせていただいたことは、前にブログに書きました。

 

室内でも車椅子を使って移動されているOさんは、でもヘルパーさんとお手伝いさんに24時間見守られながら、自宅で一人暮らしを続けていらっしゃいます。

「以前はここで社交ダンスをしていたのよ」とOさんが言われる広いリビングには、グランドピアノも。

壁には、若く美しいOさんが、ドレス姿で踊る写真が飾ってありました。

 

「沖縄ですか!いいですねえ。沖縄のどちらにいかれたんですか?」

「石垣島から、また島に渡ったの。食事のおいしいホテルに泊まったのよ」

「石垣島の島ですか。素敵!さぞ海がきれいだったでしょうね」

「きれいだったわよ。私、泳いだの」

泳いだ?83歳のOさんが?

これは、聞きまちがいね、と聞き流して、

「そうですか。石垣島からさらに島に渡られたら、さぞ海はきれいだったでしょうね。グラスボートか何かに乗られたんですかね?」

と尋ねれば、

「グラスボートは乗らなかったけど、泳いだから。わたし、ビキニ着たの」

えっ!ビキニ?!

今度こそ聞きまちがいだと、

「Oさんが泳がれたんですかね?」と尋ねれば、

「そう、わたしがビキニで泳いだの。気持ちよかったわよ」

口ごもるわたし。

頭は白い珊瑚礁と青い海を想像し、でもそこにいるOさんのビキニ姿は、わたしの貧弱な想像力ではどうにも想像ができず、受話器を持って、ただ「凄いですね!」を繰り返していました。

「そうなの。みんなにね、ビキニなんてよく勇気あったわねって言われたの」

「・・・それで、ビキニは、何色だったんですか?」

「ブルーよ」

 

83歳で、ブルーのビキニ!

 

先ほどOさんとの電話を終えて、まだずっとその衝撃と感動の余韻の中にいます。

パーキンソン病で歩くことも不自由な人が、白い日差しの中、青い海の中で、全体重を預けて泳ぐのは、どんなに気持ちがよかったことでしょう。

ましてや、ブルーのビキニで。

 

いいな。

そういう生き方、いいな。

子育て中、子供と行ったプールでも、水着の上に着ていたTシャツを脱げなかったわたしです。

 

今日からわたしも、83歳、ブルーのビキニを目指して生きよう!

                   (yamaーp)(きなこ)

 

 ♪写真をクリックしたら、銀輪をお聴きいただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=avwyn1DYs7s

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コメント: 2
  • #1

    Nlshikori (水曜日, 04 10月 2017 01:35)

    あと20日がんばろうという気持ちになってきました。ありがとうございます。
    懐かしいな、石垣島。げんきなこのうたは、いつも暖かい気持ちになるところがいいな。

  • #2

    きなこ (水曜日, 04 10月 2017 09:37)

    Nlshikoriさん
    おはようございます♪
    ご無沙汰していますが、お変わりありませんか?
    どうされているかな、とちょっと気になっているのでした。
    石垣島は、思い出の場所なんですかね?
    げんきなこの歌で、あたたかい気持ちになれる、なんて、最高のお言葉をいただき、うれしくてたまりません。
    感動、だったり、涙が流れる、だったり、ということも、わたしたちには必要な感情なのだと思いますが、「日常」は、なるべくノーマルな気持ちで過ごせるのがいいなあ、と思います。心が揺れるのではなくて、心が落ち着く方向というか。だから、そんな風に言っていただけて、ほんとうにうれしかったです。
    あと20日、というのは、奥出雲の『お寺でコンサート」のことですね♪
    お寺でのライブは初めてなので、わたしたちも、とても楽しみにしているんですよ♪