引き出し

ある人に、

「引き出しが多いのですねぇ」

と言ったら、

「引き出しが多いと言っても、私の引き出しは、どれを開けても、役に立つようなものは何も入っていないのですよ。」

と、言われました。

 

これは「人間の引き出し」の話。

でも、それを聞いて思い出したわたしの机の引き出し。

 

今も、のりや消しゴムに混じって、祖父のタバコ入れや祖母の使っていた洗濯ばさみ、キットカットの合格だるまなどなど、まったく実用的でないものも入っている私の引き出しですが、これは昔からのこと。

 

小学生のころの引き出しには、道で拾ったきれいな石や波で丸くなったガラス片、それから、お菓子の箱が入っていて、その中には、ちり紙で何重にもくるんで泥団子が入っていました。

「泥団子を磨き続けていたら、やがて鉄になる」という話を聞いて、時々そっとちり紙を開いては磨いていました。

 

「役に立たないもの」がたくさん入っていると、必要なものは隅っこに追いやられて、どちらが本来の居場所なのか、わからなくなります。

でも、開くたびにたのしかった引き出し。

 

役に立つものは、必要。

でも、役に立たないものは、たのしいです。(絵、安本洋子さん)(きなこ)

   

   (♪絵をクリックすると、「雨はともだち(影山さゆりさんボーカルバージョン)」をお聴きいただけます。)

 

 https://www.youtube.com/watch?v=rMvFh7pQCJI&index=102&list=UUa030tIOyeM5LbDx_9FRZ9Q