書き置き

元気さんが釣りに行きました。

一刻も早く竿を投げたい元気さんを釣り場に下ろして、私一人で近所の釣具屋さんにエサを買いにいけば、店の前には書き置きが。

 

「只今沖に出ており、午後から営業いたします 店主」

 

ざんね~ん!と、一人で突込みを入れながら、思い出したのが、母の書き置き。

小さい頃、海のすぐそばに住んでいました。

季節はちょうど今頃。

学校から帰ると、ちゃぶ台の上に書き置きがあって、「海にいます」と書いてありました。

それを見たら、ランドセルを置いて、長靴をはいて、すぐに海に駆けて行っていました。

海にはうずくまって貝を掘る人たちがたくさんいて、一段高いところから母を捜して、わたしも並んで貝を掘りました。

母は専業主婦だったので、みかんもぎの季節以外は家にいて「おかえり」と迎えてくれたのですが、貝の時期には、よくその書き置きがありました。

そんな夜のお夕飯は、いつも貝汁と二ナでした。

なつかしい思い出のひとつです。

 

で、元気さんの話に戻ります。

釣具屋さんでエサを調達できなかった元気さんは、スーパーのこいわしをエサにして釣りました。

朝、電話していた北海道のクリオネさんに、

「今日はこれから元気さんは魚釣りに行くんですよ」

と言えば、

「元気さんが釣りに行くって話はよく聞くけど、釣れたって話は聞かないね」

うーん、なかなかスルドイですね、クリオネさん。

今日もやっぱりボウズでした。

                               (絵、安本洋子)(きなこ)

 

         ♪絵をクリックすると「雨はともだち」(旧バージョン)をお聴きいただけます。

 

https://www.youtube.com/watch?v=M0PnG4JSzZ8