うらやましすぎる

久しぶりに小学校からお声をかけていただきました。

山口県のとある学校の小学校6年生です。

「今、子供たちは卒業式の練習をしているのですが、なかなか大きな声で歌うことができません。

卒業していくこの子たちに、歌うことの楽しさを教えてやりたくて。

そんな一時間にしてください」

受話器の向こうで、はつらつとした先生の若い声が、そう言われました。

「卒業式で6年生が歌う歌はなんですか？」と尋ねれば、

「旅立ちの日に、です」

それで、さっそくユーチューブで検索して聴いてみました。

ああ、覚えています。子供たちの卒業式に涙したあの歌。

じっと聴いていると、同じ部屋で雑誌をめくっていた娘が、口ずさみはじめ、突然、

「やめてよ、この歌」

「なんで？今、歌ってたじゃない？」と言えば、

「誰もが通ってくる道よ、やめて」と言い、なのにまた歌っています。

うらやましいなぁ。

なんてしあわせな歌なのでしょう。

やめて、と言いながら口ずさんでもらえる歌。

誰もが通ってくる道、と言われる歌。

うらやましすぎるなぁ。

もしももしも、げんきなこの歌が、一曲でもそんな歌になれば、もうなにも言うことはありません。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(写真、yama-p)　　(きなこ）