歌の練習

 

最近、元気さんが歌の練習をしています。

 

声がくぐもる。早口になる。かつ舌が悪くなる。

だから、話が伝わりにくい。

 

他の症状で悩んでいても、声は明瞭、という患者さんもいらっしゃるので、みんなに当てはまるわけではないのですが、こういった症状で悩んでいらっしゃるパーキンソン病の患者さんは案外多いです。

 

元気さんもその一人。

自分の言いたいことが伝わらないのは、もどかしいようで、時々、終った電話を放り投げています。

それをみるたび、人間の足をもらうために声を捨てた人魚姫も、ずいぶんつらい思いをしたのだろうなあ、と思います。

 

で、最近ちょっと元気さんがはまっているのが、歌の練習。

伴奏は、わたし。

元気さんが歌本をみながらリクエストする歌を、ズンジャン、ズンジャン、と伴奏しています。

音ははずれるし、リズムも行進曲みたいな四拍子で、ピアノを始めたばかりの子供のような伴奏なのですが、聴く人がいるわけでなし、気にせずに弾いています。

 

歌の目標はたいへん低く、リズムが早くならないことと、姿勢よく歌うことだけ。

あとは、ただただ気分よく。ときどき、わたしの弾くキーが高すぎて、元気さんはのどを絞められたニワトリのようになりながら、歌っています。

 

さらば涙と言おう、時代、イムジン河、昴、また逢う日まで・・・などなど。

 

元気さんのリクエストする歌は、ほぼわたしも知っていて、ああ、わたしたちの人生には素敵な歌がたくさんあったのだなあ、と感じます。

つっかえながらも、そらで歌える歌も意外と多くて、自分の中に、たくさんの歌が眠っていることにも気がつきます。

その時々、歌に心をうれしくさせてもらってきたのだろうな、と思いながら歌っています。

                                 (絵、高嶋宏子さん) (きなこ)

 

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コメント: 2
  • #1

    しゅうじ (木曜日, 26 1月 2017 07:12)

    おはようございます�
    寒いですね❄️
    最近はまっている曲です。しらずしらず口ずさんであります。もしかしてイムジン河の兄弟曲か何かではなかったかと❗️ https://youtu.be/TrgTawFQC7U

  • #2

    元気 (木曜日, 26 1月 2017 09:03)

    そうです。フォーククルセダーズのイムジン河が放送禁止となって、その曲を間逆からトレースしたもの。悲しくてうやりきれない。
    この世界の片隅に、、、我が家にもコミック本がありますよ。