2022年

1月

25日

スズメの踊り

マンションのに引っ越して間もないパーキンソンの友だちが、

『5階のベランダに、スズメが遊びに来てくれるの。』

と教えてくれました。

最近、スズメ、ツバメがめっきり少なくなった。それは鳥の餌になる昆虫が少なくなったせい。昆虫が少なくなったのは温暖化のせい。その激減は『沈黙の春』の頃以上、という衝撃的な記事を読んで間もなかったので、『5階のベランダにスズメ?』と驚きました。

『うん。スズメが来てくれて、羽を広げて踊ってくれるの。

オフになって体が動かない私を励ましてくれてるのかなあと、うれしくて。』

と話してくれました。

『スズメ踊りっていうけど、スズメの羽ってほんとにキレイなのよ』

友だちのそんな話を、優しくしてくれたおじいさんをスズメのお宿に招いて歌や踊りでもてなした舌切り雀の話も思い出しながら聞いていました。

 

電話を切ったあと私もすずめ踊りを見たくなって、ネットで検索しました。 

なんてタノシイ踊りでしょう!

 

腰を落として扇子をくるくる返しながら踊る姿は、舞い踊る百、千のスズメそのもの。

 

 

人になかなか懐かないと言われている雀ですが、やさしい友だちを励ますために、ほんとにスズメが来てくれたのかもしれないなあと思いました。

            (絵、安本洋子さん)(きなこ)

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2022年

1月

23日

絵葉書

父の絵に母の短歌を添えて、絵葉書を作ってみました。

ずっとしてみたいと思いながら出来なかったのですが、作ってみるとなかなかの出来栄え。

いいじゃん、いいじゃん、イエ~イ

ポストに投函して、届いたよ、の電話を待っていたら、

『届いたよ。わしの絵は、お母さんの短歌の添え物になっちょったが。』

と、父から電話がありました。

 

相変わらず、うれしい気持ちを素直に表現できない父に、心のなかで苦笑いしました。

 

写真をクリックしていただくと、雨はともだち、をお聴きいただけます。

                (写真、yama-p)(きなこ)

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2022年

1月

21日

選抜

親戚からみかんが届きました。

母と一緒にみかん作りをしていた伯母から代替わりして、今はいとこ夫婦が仕事の合間に作っているミカンです。

無農薬、味もよし、と言えば聞こえはいいですが、手をかけない分、大きいのあり、小さいのあり、大きさも不揃いで、見かけも悪いみかんです。

でも、食べてもらいたいなあと思う人がいて、床にみかんを広げて、第一次選抜、第二次選抜、を勝ち抜いた?みかんを小さな袋に二袋用意しました。

よろこんでもらえるかな。

雪ではなくて、小さな雨がポツポツと降っています。

 

今日が良い日になりますように。

(絵、安本洋子)(きなこ)

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2022年

1月

20日

箱根駅伝 原監督のことば

今更ですが、今年の箱根駅伝も各校、素晴らしい走りでしたね。

半月近く過ぎた今でも、あの走りと共に忘れられないのは、青学原監督のせりふ。

『お正月のおせちを食べながら、お屠蘇を飲みながら、駅伝を楽しんでもらえたらうれしい』

そんな内容のことを言われたと思います。

歴代最高記録を10分も上回る走り。

走った選手も走れなかった選手も、どれほど練習してきたかは容易に想像できますが、その努力を、飲食しながら楽しんで、と言えることに感動しました。

努力は自分たちのこと。

そして、それをたのしんでください、と言えること。

これが強さの秘密なのかな、と思いました。

 

今日は大寒。

これが底だと思えば、今日の寒さはこらえられる気がしますね!

 

写真をクリックしたら、「銀輪」をお聴きいただけます。

                 (写真、yama-p)(きなこ)

 

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2022年

1月

19日

ルンバが来た♬

「ルンバなんていらんよ」

と言ったのですが、

「試してみたい」

という家族が1名いまして、我が家にルンバがやってきました。 

私が掃除機をかけるほうがうんと早い、と思っていましたが、確かにそれはその通り。

でも、これが意外とがんばるんです。

ベッドの下にも果敢に潜り、予測不能?だったダストボックスにぶつかっても健気に方向転換し、コードを越え、元気さんの足先を乗り越えて、「お掃除をする」という自分の使命を果たそうとしているそのがんばりに目が離せません。

「ホラホラ、すぐ横にチリがあるよ!」

と言っても、そのまま素通りしてしまうこともあるのですが、一緒に掃除してます、の共同作業感に、不思議なくらい

ウキウキしています。

 

でも、ルンバの動きをずっと眺めていたので、今日の掃除はいつもよりうんと長くかかりました!

             (写真、yama-p)(きなこ)

 

写真をクリックすていただくと、「くつしたクリスマス」をお聴きいただけます。

 

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2022年

1月

14日

移る、変わる

もう、少し前の話になりますが、子供の歴史の教科書を眺めていて『樽の発明で、流通が盛んになった』と書いてあり、驚いたことがありました。

 

私たちが教科書で見ていた頼朝像は別人だったかもしれないとか、今は『聖徳太子』ではなく『厩戸皇子』と書かれているとか、教科書の内容が、時代と共に変わるということがあるんですね。

昔私たちが必死で覚えた年号もいくつか変わっていて、『じゃあ、あの頃鎌倉幕府成立1185年、と書いてもらった人がホントは正解だったの?』と、一体歴史のテストって何?とちょっと考えこんだことがありました。

でも、「桶の発明」については、考えたこともなかったうえ、さらにそれが流通と関係あるなんて想像したこともなかったので、そうだなあ、そうだなあ、とひたすらナットク感心しました。

 木を組んだ桶が考案されるまでは、液体は陶器に入れて運ぶしかなかったけれど、割れにくくしかも軽い桶の発明で、リスクが少く遠くまで運べるようになり、流通が活発になったのだそうです。

 

桶の発明自体は、私が学生の頃から学者さんの間で知られていたのだと思いますが、その後、どなたか、桶と流通の関わりを考えつかれた歴史学者がいらして、ヘェ!、ガッテン!と定説になったのでしょうかね。

 

でも、先日テレビを見ていたら、桶づくりの後継者がいなくなっているという内容のドキュメンタリーが放送されていました。

お醤油もビールもお酒・・・も、今はペットボトルやアルミ缶やガラス瓶に入っていて、樽を見ることは稀です。

こんなふうに時代は移っていくのだなあ、みんな忘れていくのだなあ、と思いました。

 

今日は共通テスト2日目。

コロナの影響を大きく受けて、また心痛む事件も起こり、受験生たちは幾重にも気の毒だなあと思いますが、それぞれの実力が発揮されますように。

 

絵をクリックしていただくと、「明日香川ものがたり」をお聴きいただけます。

            (絵、安本洋子さん)(きなこ)

 

 

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2022年

1月

14日

ガラス一枚

最近の朝一番の仕事?は、ファンヒーターのスイッチを入れることです。

30分もすれば部屋はぬくぬく。

今朝、窓の外にはチラチラと雪が。

こんな雪を、空からのラブレターだ、と言ったのは誰だったでしょう。

ぬくぬくの部屋から眺めるチラチラの雪に、雪のペンキやさんは、お空からチラチラと鼻歌も出ますが、この薄い窓ガラスを開けたら、鼻歌など吹っ飛んで、ただひたすら、寒い!としか思えないんでしょうね。

 

どうぞお身体をあたためて、今日が良い日になりますように。

 

写真をクリックしていただくと、初雪インストルメンタルをお聴きいただけます。

(写真、yama-p)(きなこ)

 

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2022年

1月

08日

ほころぶ

年末、友人のご家族宅であったイベントに元気さんとお邪魔しました。

それはわたしにとっては初めての、たのしく心に残る企画だったのですが、その話はまた。

 

で、帰りに、友人がお庭におりて、庭木の枝を切って、新聞にくるんでもたせてくれました。

梅と椿。

ツボミはついているけれど固くて、何色ともわからない枝を玄関にいけていたのですが、2日前だったでしょうか、ツボミがほころんでいるではありませんか!

椿は赤。

梅は白。

 

花瓶の中で、ちゃんと花開いてくれたのがうれしくて、そして、紅白にしてくれていた友人の心遣いもうれしくて、用もなく玄関をのぞいては花の開き具合を確かめています。

 

山口、広島、沖縄にまたもやまん延防止措置が発令されることになりましたね。

第六波。

どうぞどなたもお気をつけて。

写真をクリックすると「雨はともだち」をお聴きいただけます。

                 写真yama-p  文きなこ

 

お知らせ

 

 

 

 

東京豊島区の雑貨屋さん planet_handさんが、げんきなこのCD『歌をうたって春にいる』を取り扱ってくださることになりました。

ネット注文、郵送もしてくださいます。(振込、送料、税込み1280円)

詳しくは、げんきなこホームページトップページをご覧ください。

 

 

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2021年

12月

18日

みんなの童謡フェスティバル、いよいよ明日♪

みんなの童謡フェスティバルに、ゲストでお声がけいただきました。

いよいよ明日です。

開演は13時ですが、私たちの出演は15時30分くらいとうかがっています。

ぜひお越しいただけたらと思います。

よろしくお願いいたします。

 

日時 12月19日㈰

   13時から

会場 さくらぴあ 大ホール

(広島県廿日市市)

 

 

 

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2021年

12月

04日

意味がないものは。。。

枯れ葉は、なんてきれいなんでしょう。

5月の光にキラキラ輝く柔らかい若葉の美しさにも目を奪われますが、枯れ葉の美しさにも目が離せません。

 

あとは枯れるだけ。

そして落ちるだけ。

 

メス鳥を誘うオス鳥でもなく、蝶やハチを誘う花でもなく、生物として生きていくための役割は終えた葉っぱがこんなに美しいのはなぜだろう、と不思議でなりません。

でも、意味がないように思えるものがこんなに美しいことに、希望のような気持ちも感じます。

 

地震が相次いていますね。

揺れのあった地域の方はご心痛でしょう。

 

どうか何事もありませんように。

 

写真をクリックしていただくと、「祈り」をお聴きいただけます。

          (写真 yama-p)(きなこ)

 

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2021年

12月

01日

心が痛い

「近いうちに、垣根の剪定に行っちゃるけえ」

と、父が言ってくれていました。

『頼むね。でも、遠距離の運転は危ないけえ、今度からうちに来てくれるときは電車で来てえね』

実家から我が家までは、遠くはないけれど、近くもありません。

『わかった、わかった』

と約束していた両親が、車に乗って我が家に到着しました。

玄関先に停まった父の軽自動車から下りてきた母に

『あんなに言うちょったのに』

と、お疲れ様も言わずに文句を言う私。

『怒らんでちょうだいね。お父さんが、どう言うてもきかんから。』

と言いながら、車から次々、ミカンや野菜のダンボールを下ろす母。

よろけている母のダンボールを引き取りながら、なおも、

『電車で来るって言うたじゃ』

という私に、

『お父さんが電車で来るはずないじゃろ。お父さんの性格を知っちょるじゃろ』

と母。

 

人にしてあげるのはいいけれど、人に甘えることができない父。

垣根の剪定のためにきてくれるのに、さらに野菜やらミカンやら、山ほど車に積まないと来られない父。

『危ないけえ、電車で来て』

と言う孫や娘の言葉と

『荷物が持っていけんけえ、車で行く』

と言い張る父の板挟みになって、おそらく家で父と言い合って、結局助手席に乗って付いてきたのだろう母。

なんて不器用な両親なんだろう。

そして年をとるというのは、なんて悲しいことだろう。

そう思いながらも、なおもブツブツと

『なんで電車で来んかったんかね』

と言い続ける私に、笑いながら母は

『もうこれが最後じゃから。

もうこの車をここで見ることはないから、よう見ときんさいよ』と一言。

そう言われたら、もう何も言えなくなりました。

 

そのあとみんなで庭仕事をしました。

意外と早く垣根の剪定作業は終わって、いっしょにカレーうどんを食べたあと、午後からは父の畑からとってきたじゅうたん(リュウノヒゲ)を植えて、そして西陽が眩しくなる前に両親は帰っていきました。

 

父の車の後ろ姿を見送りながら『もうこれが最後じゃからね』といった母の言葉がリフレインして、「涙、出るな、出るな」と脳が指令を出していた涙は、車が曲がり角を曲がるまで、私の目に留まってくれませんでした。

 

約束を破った罪滅ぼしにか、両親が持ってきてくれた握り寿司をお夕飯に食べながら、『どうしてこう不器用なんだろう』とかなしい気持ちを持て余しました。

 

これは昨日の話です。

1日たった今でも心が傷んでいます。

きっと昨日のことを、私は一生覚えているでしょう。

 

親が年をとるというのは、親にとっても子にとってもかなしいことですね。

 

絵をクリックしていただくと、「かなしみは続かない」をお聴きいただけます。

                 (絵、辻千春さん)(きなこ)

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2021年

11月

27日

エフエムはつかいち「半ちゃんとまごころの輪」のゲストにお声がけいただきました♪

 

明日1128日日曜日、エフエムはつかいち『半ちゃんとまごころの輪』にゲスト出演させていただきます。

パーソナリティは、内科医の半明晃ニ先生。

 

趣味は『野球、スポーツ』、特技は『昔のカープ雑学』だとおっしゃる話題豊富な先生とのトークを、今回もたのしみにしています。

 

リクエスト曲は、『かなしみは続かない』『ひつじ雲』の予定です。

 

日本全国どこからでも、サイマルラジオでお聴きいただけますので、よかったらお聴きください。

 

エフエムはつかいち

『半ちゃんとまごころの輪』

1128日 日曜日

10時から1030

 

絵をクリックしていただくと、「かなしみは続かない」をお聴きいただけます。

                (絵、辻千春さん)(きなこ) 

 

 

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2021年

11月

22日

新曲「かなしみは続かない」をアップしました。

新曲をアップしました。

「かなしみは続かない」というタイトルです。

今回は、ハワイ移民の歌で、私の祖母の歌です。

私の生まれた山口県、今暮らしている広島県は、ハワイ移民がとても多いところなのですが、明治になってしばらくして、祖母の両親も移民としてハワイに渡り、そこで祖母が生まれました。

祖母にはたくさんの兄弟姉妹がいましたが、少女の頃、親戚の養女になるために、祖母は一人だけ日本に帰りました。

 

祖母への思い、移民ということ、家族ということ、かなしみが感謝に変わること・・・、溢れる気持ちがあって、教えられたことがあって生まれた歌なのですが、そんな複雑な思いを繊細に感じ取って、シンプルに、この上なくあたたかく、辻千春さん(#chipal328)が絵で表現してくださり、素敵なミュージックビデオに仕上がりました。

 

コーラスは、釣った魚を持ってきてくれた剛心さんと瞳さんに「ちょっと声をちょうだい」と魚だけでなく声ももらって、元気さんがコーラスに編集しました。

 

絵をクリックしていただくと、ミュージックビデオをご視聴いただけます。

             (絵、辻千春さん、文きなこ)

 

 

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2021年

11月

13日

なんだか、軌道に乗ってきた感じ

元気

 

このところ、なぜだか活動が波に乗ってきた感じがする。

はつかいちさくら賞の受賞、さくらピア大ホールでのゲスト出演、来年の宮島でのライブ、またドキュメンタリー番組の撮影依頼、その他ライブの依頼、新曲の完成等々。

また、人との出会いも増えてきた。中学同級生との再会、高校先同級生とのつながりもまたしかり。

体調はダウン気味であるが、これについてはこの病気の避けられないところゆえ、抗うまい。。。

東京パラリンピックで感じた、健常者、障害者の垣根がない状況のすばらしさを忘れず、前を向いて生きていこう。

きっといいことがまだあるさ。


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2021年

11月

07日

本日、「ひろしまさとやま未来博2021」のユーチューブ配信があります。

和高節ニと向原 さとやま未来博2021年

 

本日、14時からユーチューブにて、広島県主催『ひろしまさとやま未来博2021~和高節ニと向原原』の配信があり、1530分からのコンサートに、私たち音楽ユニット『げんきなこ』も参加させていただきます。

和高節ニさんは、広島県安芸高田市向原町出身の日本画家。

一度は家出して上京するも、ふるさとに根を張り、生涯、農村の営み、共に暮らす牛などを愛情に満ちた眼差しで描き続けました。

和高節ニさんの絵や人生を知ってほしいとふるさとを同じくする田川幸雄さん、白州民生さんが和高節ニの人生を思ってお作りになった『野に生きる』という歌を、ご縁があって元気さんがアレンジさせていただきました。

とても素敵な歌です。

そんなご縁で、今回『げんきなこ』にもお声がけいただきました。

私たちは事前録画参加なので、どういう感じになるのか実はよくわからないのですが、私たちも楽しみに視聴させていただこうと思っていますので、よかったらご一緒にご覧いただけたらと思います。

 

ユーチューブ配信

和高節ニと向原 で検索ください。

日時 本日117日日曜

14時から 広島県立美術館学芸員さんのご講演

15時から 朗読など

️1530分から 『野に生きる』コンサート

 

 

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2021年

10月

28日

今日805たんば「こてつワールド」にゲスト出演させていただきます。

今日、「こてつワールド」にラジオ出演させていただきます。

パーソナリティはこてつさん。

プロデューサーは森重惠子さん。(笑)

ズームで、丹波のこてつさんと森重惠子さん、舞鶴のまったさん、広島のげんきなこを結んでの30分です。

 

放送日時 10月28日 木曜日 19時30分から20時

     再放送 10月30日㈯ 20時から20時30分

 

以下をクリックしていただいたら、

ユーチューブから、動画でもご覧いただけます。

 

http://805.tanba.info/parkinson

 

よろしくお願いいたします。

 

 

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2021年

10月

16日

半ちゃんとまごころの輪のアシスタント出演させていただきます。

明日10月17日㈰朝10時から、エフエムはつかいち「半ちゃんとまごころの輪」に出演させていただきます。

パーソナリティは半明内科クリニック院長の半明晃ニ先生。

今回はゲストではなく、なんと、アシスタントとしてお声がけいただきました。

ゲストは近日公開の映画「吟ずる者たち」の現地プロデューサー古川康雄さん。

広島の日本酒のパイオニアともいえる三浦仙三郎が主人公の映画だそうです。

テリトリー広い半明先生と古川さんのトークを、私もたのしみにしています。

サイマルラジオで、全国どこからでもお聴きいただけます。

よかったらぜひお聴きください。(きなこ)

 

🧡エフエムはつかいち

💙番組名「半ちゃんとまごころの輪」

 

💚10月17日 日曜日 10時から1030

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2021年

10月

10日

私の故郷

げんき

 

 

  

私は幼少期から高校を卒業するまで父の仕事の関係上山口県内を転々として暮らした。

そのため、はっきりとここが故郷だと呼べる場所はないのだけれど、この歳になって郷愁に駆られるところがある。それは今は家族の誰も住んでいないが、私の本籍地に当たる山口県東部のどかな田園地帯に位置する柳井市日積(やないしひづみ)である。

 

ここには我が家のルーツがあり、私自身は幼稚園の2年間と小学一年の計3年間この地で暮らすとともに、小学校を転校してからも、夏休みなどの長期休暇に入るとすぐに”日積”に帰り、いわいる”お外”で、幼友達と思いっきり遊んだ。(帰るという言葉が最も腑に落ちます)

私の家は、私から遡ること4代前に、本家から独立して分家を起こしたのが起点である。移動は徒歩に依存し、グローバルな交流がなかった祖父母の時代や我が家を起こした初代の世代はまさにこの“日積”こそが生活の中心であり、全てであったろう。また若かりし頃に終戦を迎え、その後日本の復興の時代に懸命に生きた、父母世代も

“日積”を大切にし、少しでも家族にとって進歩があるよう、汗を流して働いてくれたと感謝している。

そういえば、父から16歳で嫁いできた祖母(父にとっては母)との思い出話を折に触れ聞かされた。

父が小さかったころ、祖母(母親)と手をつないで、一山超えて一日がかりで祖母の実家に歩いて泊りに行ったこと、祖母と父が二人で農作業を行っていたところ、一日では片付かず、農機具を収納する小屋に祖母と二人で寝泊まりしてまた翌日の農作業を行ったこと。

そしてまた父からは家から遠く離れたところに位置する旧制中学に毎日、時間をかけて自転車通学していたのだが、大半の学業のライバルは、街中から通学していたため、勉強に費やす時間が多く確保できるのだが、高低差を伴い、さらに遠距離である通学路であるため、通学に長時間を要したため勉強時間の短縮を余儀なくされていたが、集中することにより、乗り越えてきたこと。

この通学にかかわる笑い話として、フンドシがチェーンに絡まり、自転車がこげなくなり途方に暮れたこと。(この話は、いつ聞いても捧腹絶倒ものだった)

みんな前を向いて懸命に生きてきたことに違いはない。

 

私の趣味である魚釣りも、この“日積”で覚えた。

初めて網で捕った小魚のピチピチした動きが網を通して感じられた際の感激、そしてその場所となった、春爛漫な小川(我が家のそばを流れていた)のきらめき、水の冷たさ、友だちの歓声。

祖父が竹で作ってくれた釣竿に近くの商店から確か10円で売っていた釣り具を買って、小麦粉に水を混ぜ、団子状の餌にして釣ったハヤ(カワムツ)。

祖父はとにかく魚を食べることが大好きで、私が捕ってきたきた魚を嬉しそうにさばいて私と一緒に食べたものである。

夏休みに外出が解禁となる朝10時になると急いで、近くの大川(由宇川)と呼んでいた川にかかる橋まで足を運び、橋の上から輝き透明な清らかな流れの中を悠然とまたあるときには、電光石火の如く素早く動くハヤや、砂の上を泳ぎ回り、ときには砂に潜るスナハリ(カマツカ)などを観察して、午後からはじまる魚取りに向けていろんなシミュレーションを頭の中で行って過ごした。

この川には、川のアンコウと呼ぶべきドンコや、ウナギ、フナ、コイなどもいた。

ブルーと朱が鮮やかで、また胸鰭が大きく発達したヤナギバエ(オイカワ)のオスを”カラー”と呼んで。瀬の中をひたすら「カラーがおったどー!!」と絶叫しながら、追い掛け回すのも楽しかった。

梅雨時期になると、大川が洪水状態となり、支流である我が家のそばにあった小川に大川から大物の魚が遡上してきた。堰堤にある深みに2~3日避難した後、また本流に戻っていっていたのだろう。いつの間にか姿を消すのが常だった。その大物をなんとかして網で捕ろうとするのだが、なかなか思うようにはいかず、流れの状態が通常に戻ると忽然と姿を消すのだった。

枝握りといって岩と岩との隙間に腕を突っ込み、隠れている魚を握って取るということもした。

川のにおいや、水中眼鏡から見た川の様子などなど、今でも鮮明に記憶に残っている。

 

そういえば、こんなこともあった。小学5年のアポロ11号が月に行った頃のはなし。盆休みを利用して大阪から帰省した叔父(父の弟)と父と私とで暗闇迫る夕刻から、我が家のすぐそばを流れる小川にウナギを突きに行った。夜行性のウナギは、夜になると穴などから抜け出し、餌を追うのである。明るい懐中電灯にて水面を照らしながら、上流に向かって進んでいた時のこと、近所のおばさんが橋の上からじいーっとこちらを見てる。父の命により3人でお辞儀をしたのだが、そのおばさん、突然脱兎のごとく走り去って行った。翌日祖母が、近所の店に買い物に出かけたところ、すぐに息を切るように家に戻り開口一番「キツネが出たげな。しかも3匹、一匹は子ギツネ、明るいもので周囲を照らしちょったんじゃと」

それを聞いた我々3人の口がアングリと開いたのは言うまでもない。

(ここで雑学)

小さいことから、ずっと疑問に思うことがあった。それは高い園庭を伴う、川において、常識的に魚止めとなってもおかしくない箇所より上流にはたしてウナギが海から遡上し得るのかということ。キツネに化けたあの日、ウナギを捕獲する可能性はあったのかということ。(実際、あの時は何も捕れませんでした)

これにたいし、他県支部患者会の方で、田舎暮らしの達人と呼ばれる方から、明快な回答をもらった。「うなぎは。急峻な流れを上る際は。後ろ向きになって、しっぽをくぼみにひっかけながら登る。したがって、どんな滝、園庭も、ウナギにとって遡上の妨げにはならない。

ウーム ウナギ君なかなかやりおる。

 

ところで先日とある理由から、“日積”に行き、ご近所さんだった方とお会いする機会があった。

実際にはその方とお会いするのは初めてのことであったが、お会いした瞬間から、その方のお人柄にぐんぐん引き込まれていった。その方はこの田も作られているのであるが、お話しした中で感動した言葉があった。

それは、「時間があれば何かにつけ田の中に入っていくのですが、田に入るときは必ず稲に向かって『お前たち、私が守ってやるからな』と心の中で声をかけるんです。」という内容のものであった。

私の先代たちを含めて、ここ日積で暮らしている方々は皆、同じような思いで半農の暮らしを営んでおられるのだろうと実感し、深い感慨を覚えた。

 

その晩、姉に当日の説明のため電話をした。

姉は、その“日積”で、まさに”いなかっぺ大将”だったらしく、自分の幼少期の思い出話を嬉しそうに話してくれた。

 

心の底から満たされていった一日だった。


 


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2021年

9月

26日

秋のお彼岸

お彼岸でお寺さんがお参りしてくださいました。

母の手作りのおはぎを食べて、祖父母が残したアルバムを見ながらハワイから祖母の姪家族が遊びに来たことなどなどをおしゃべりしたあと、いつものように父が「絵を見てくれえや」と言い、二人で父の画室(田舎なので、部屋はいくらでもあるのです)に上がり、父の絵を見せてもらいました。

見たことのない絵がたくさん並んでいました。

ああこんなにも私は帰ってなかったんだ、と思いました。

「手が振るうて、もうこんな絵しか描けんようになった」と父は言いながら、あれこれと絵を見せて説明してくれたあとで、「尾道の絵をもらってくれんかの」と言いました。

 

コロナが流行り始める前ですから、2019年の5月だったと思います。

両親と元気さんと4人で尾道の除虫菊の花畑を見に行きました。

尾道の絵を描きたいと言っていた父の願いと、魚釣りがしたいという元気さんの願いと、除虫菊の白い花畑を見たいという私の願いを叶える小ドライブを4人でしました。

父が段ボールの箱のふたをひらくと、日の光に美しく輝く除虫菊の白い畑と瀬戸内海が現れました。

初夏のあの日のきれいな瀬戸内の風景が、キャンパスの上に描かれていました。 

「ここにあんたらあとお母さんがおるんじゃ」

と父が指すところを見たら、除虫菊の畑の端っこに、小さく3人の人がいました。

まるであの日の私たちが小人になって、絵の中にいるような気がしました。

お父さんがおらんじゃないかね、と言いかけて、画家は描いているんだからいるはずないよね、と、言葉を飲み込み、代わりに

「ええ絵じゃねぇ」

と言ったら、涙が出ました。

マスクがあってよかった。

メガネでよかった。

声がくぐもらないように、涙止まれ止まれと、こっそりメガネの下の涙を拭いました。

「絵をもらってくれるかの?」 

と再び父が言い、

「そりゃ、貰ういね、ええ絵じゃねぇ」

と言うと、

「そうか、そりゃあ良かった。記念になるじゃろ」

と父が言いました。

 

そのあとアイスを食べながらまた話をしている間に、話下手な父は庭に出たのかどこかへ行ってしまい、母と二人でおしゃべりをしました。

 

「お彼岸に、ようけ話してもらっておじいちゃんとおばあちゃんが喜んじょるよ」と言いながら、お土産におはぎとお昼の煮物とそして父の絵をもらって車に乗りました。

 

お彼岸が冬でも夏でもなく、気持ちのいい春と秋で良かったなあと思いながら、帰りました。

 

今日の歌は、「飯山」です。

いつものように絵をクリックしていただくとお聴きいただけます。

 

良かったらお聴きください。

                 (絵、安本洋子さん)(きなこ)

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2021年

9月

24日

蕎麦の花畑

蕎麦の花が満開と、朝のニュースが伝えていました。

新蕎麦!

お蕎麦も好きですけど、蕎麦の花もきれいですね。

白い花畑を見に行きたいなあと思いました。

「遠くでなくて、近くてもいいから行きたいなあ」(ちゃっぴーちゃんの歌のワンフレーズです。)と思ったのも、秋のせい?

「遠くに行きたい」は、秋の歌でしたっけ?

・・・と、つらつらと書き続けてしまうのも、秋のせいでしょうか?

今日の歌は「あけびの実の熟れるころ」です。

 

写真をクリックしていただくとお聴きいただけます。

よかったらお聴きください。

              (写真、yama-p)(きなこ)

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2021年

9月

22日

令和のかぐや姫

元気さんが、ホームセンターで見た犬に一目惚れしました。

白い柴犬です。

囲いの中で、お座りをして尻尾をパタパタ。 

立てば自分の尻尾を追いかけてクルクル。

5月7日生まれと書いてありましたから、まだ4ヶ月ほどの子犬です。

「名前をつけた。小太郎」

と、元気さんはもうすっかり飼い主気分。

私も次第に感化されて、スマホで撮った動画を眺めながら、寄ると触ると二人で「小太郎」の話をしていました。

ところが。

昨日、ホームセンターに行ったら、小太郎はいませんでした。

小太郎、売れちゃったんだ

カワイイ犬だったもんねぇ。

 

どんな名前をつけてもらって、どこのお家の家族になったのでしょう。

しあわせになってね。

令和のオバチャンかぐや姫は、中秋の名月をながめながら、一度しか会ったことのない犬のことを思っていました。

 

今日の歌は「星月夜」です。

写真をクリックしていただくとお聴きいただけます。

                      (写真、yama-p)(きなこ)

 

 

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2021年

9月

20日

十五夜イブ

昨夜は、縁側に座って月を眺めました。

中秋の名月にしては少し欠けてない?目の錯覚?と、眺めていたのですが、部屋に入って一日早かったことを知りました。

困ったオッチョコチョイです。

でも、少し欠けていたけれど、雲もかからず天空できれいに輝く月でした。

紫式部も清少納言も、同じように月を眺めて虫の音を聴いていたのだろうなあ、でも、今の私たちなら誰でも知っている月のクレーターの凸凹のことは、紫式部は知らなかったんだなあ、なんてたわいないことをツラツラ思いながら、丸く明るい月を眺めていました。

 

さて、今日の歌は広島西医療センター療育病棟の成人式ソング「二十歳」です。

これは、広島西医療センターの前身の原病院に入院されていた筋ジストロフィー患者の早稲田尚志さんが作られた歌です。

「ずっと歌い継がれていてテープがのびてしまったので、リニューアルしてほしい

と先生から声をかけていただき、元気さんがアレンジさせていただいました。

早稲田さんは何十年も前に亡くなられたそうで、私たちを含めて、今、早稲田さんを存じあげているはほとんどいないと思うのですが、今でも歌は歌い継がれて早稲田さんの思いを感じることができます。

素敵なことですね。

いつも熱い元気さんが、3パターンアレンジを作ったのですが、今日は先生がピアノ伴奏されたものを主にして元気さんがパーカッションを加えたバージョンでよかったらぜひお聴きください。

いつものように、絵をクリックしていただくとお聴きいただけます。

 

今日が良い日になりますように。(絵、安本洋子さん)(きなこ)

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2021年

9月

19日

秋の匂い

 

朝ごはんの支度で出た生ゴミを畑に埋めようと庭に出たら、なんだかいい匂いがしました。

キンモクセイのような、焼き芋のような、甘い匂い。 

どこのお家の庭からとどいているのかな?

 

暑い暑いと汗を吹き出していた季節は、庭に出ても匂いを気にする余裕がありませんでしたが、いよいよ秋が来たんですね。

 

絵をクリックしていただくと、「津和野街道きずな道」をお聴きいただけます。

よかったらお聴きください。

               (絵、安本洋子さん)(きなこ)

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2021年

9月

16日

魚の目

最近、「魚の目」が出来るようになりました。

魚の目って、名前が疾患らしくないから、マジメに考えたことがなかったですけど、この痛さはあなどれないですね。

歩き方によって、痛ッ!と声が出てしまう痛さです。

 

イタタタタ、と言ったら、

「魚の目が痛うて」

と祖母が言っていたことを思い出しました。

 

祖母は明治の生まれです。

着物と草履で育った人が途中から靴の時代になったから、祖母の場合は、足に靴が合っていなくて魚の目になったのでしょう。

そういえば、昔のおばあさんは、「いじわるばあさん」みたいに、洋服を着ていても足元は草履でしたよね!

 

祖母が亡くなって、もう三十年。

 

今更、そんなことを思っています。

 

今日の歌は、「赤トンボ」です。

歌詞は、患者会の友人の松尾みちよさんの川柳です。

絵をクリックしていただくとお聴きいただけます。

              (絵、安本洋子さん)(きなこ)

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2021年

9月

12日

花澄草さん

おはようございます。

こちら広島は涼しい朝ですが、いかがお過ごしでしょうか?

朝晩は虫が鳴き、お昼間はツクツクボウシが鳴いて、少しずつ少しずつ夏と秋が入れ替わっているのを感じます。

 

さて、今日は花澄草さんがカバーしてくださった「五橋渡り」をお聴きいただけたらと思います。

花澄草さんは、「五橋渡り」をあちらこちらのライブ会場で歌ってくださり、それを聴かせていただきたくて、追っかけしては聴かせていただいているのですが、聴かせていただくたびに胸がいっぱいになります。

主人公の女性がかわいそうでかわいそうで。

不思議なんですが、自分たちで歌っているときは、必死に歌っていてそういう気持ちは感じないのですが、花澄草さんの「五橋渡り」を聴かせていただくと、何度でも肺で風船が膨らんだように息が苦しくなります。

 

少し前のライブなのですが、岩国の老舗、錦月堂さんで演奏、素敵な高音とハーモニーをお聴きいただき、私と同じキモチを感じていただけたらうれしいです。

 

写真をクリックしたら、お聴きいただけます。

 

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2021年

9月

06日

東京パラリンピック 閉幕からのはじまり

パラ五輪が閉幕しましたね。

「閉会ではなく、これがスタートになることを希望しています」というご挨拶がありましたが、なにかが少しずつ変わって、少しずつ明るい方に向かっているといいなあ、そんな希望も感じながらの閉会式でした。

 

絵をクリックしていただくと「きみがいた」をお聴きいただけます。

よかったらお聴きください。

                  (絵、安本洋子さん)(きなこ)

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2021年

9月

03日

「家路」?「遠き山に日は落ちて」?

昨日投稿した、夕方5時に流れる音楽についての会話です。

「曲名、「遠き山に日は落ちて」よね」

と言ったら

「「家路」でしょう」

「え?「家路」はないでしょう?」

「いや、「家路」だよ」

主張しても、お互い根拠を示す知識はなく、こういうときに、スマホはありがたいですね、すぐに調べられます。

 

遠き山に日は落ちて、と入力したら、「遠き山に日は落ちて(家路)」と出て来て、家路、と入力したら、「家路(遠き山に日は落ちて)」と出てきました。

だめじゃん!

 

で、さらに調べると、なんとまあビックリ。

「家路」と「遠き山に日は落ちて」は、メロディは同じだけれど、歌詞が違う別の2曲の歌なんだそうです。

 

ドボルザークの交響曲「新世界より」の一部に作詞した元歌があり、それを堀内敬三が訳詞したのが「遠き山に日は落ちて」で、野上彰が訳詞したのが「家路」なんだそう。

 

そうなんだぁ。

 

 

心のなかで、へぇへぇへぇ!とボタンを連打していたら、昔昔、学校のキャンプファイヤー合宿で、みんなでたき火を囲んで、「と〜おき〜や〜まに〜」と歌ったこと、歌い終わると同時に、杖をついた白装束の「火の神様」(先生のバレバレの扮装)が闇の中から現れたことなどを思い出しました。   (写真、yama-p)(きなこ)

 

*写真をクリックすると、「蜂ケ峯 思い出はいつもきらら」をお聴きいただけます。

 

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2021年

9月

02日

風に乗って海を越えて

家の向かいに宮島があります。

夕方、時々、宮島の方から音楽が聴こえているのに気がつくことがあります。

5時を知らせる音楽です。

私の街の5時の音楽は「遠き山に日は落ちて」なのですが、それとは違う雅楽のような音楽。

風にのって、海を渡って、切れ切れに聴こえるので、よくはわからないのですが、私は聴いたことがないメロディのようです。

でも聴こえると、南風が吹いているんだなあと、風も感じられて、なにかうれしいキモチになります。                (写真 yama-p)(きなこ)

 

写真をクリックすると、広島音楽会さんがカバーしてくださった「みんなが笑顔」をお聴きいただけます。

よかったらお聴きください。

 

 

 

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2021年

9月

01日

オオオニバスに乗りたい!

幼い頃、あこがれていたことがいくつかあります。

叶ったこともあれば、叶わないことも。

オオオニバスの葉っぱに乗るのも憧れの一つでした。

オオオニバスが世界で一番大きい葉っぱと知ったのは、平凡社の子供図鑑だったか。

池だか沼だか川だかで、色の黒い子供たちが大きなお皿のような葉っぱに乗って笑っている写真があって、びっくりして憧れていました。

私も乗ってみたいなあ。

 

憧れは憧れのまま大人になり、すっかり忘れて、月日は巡る糸車。

小学生の子の親になっていた夏休みの終わりの昼ふけのこと。

ふとめくった古いタウン誌に

「オオオニバスに乗ろう!」

という植物園のイベント記事を見つけました。

ふいに蘇る、幼い日のあこがれ。

イベントは、その日が最終日でした。

あわてて子供を引っぱって、車を走らせました。

 

閉園時間が近い植物園は、ひとけもまばらで、わたしたちは目的のオオオニバスに直行。

セーフッ!

ところが、子供は葉っぱに乗れる体重制限を5キロほどオーバーしていたのです。

恐る恐る

「体重が、少しオーバーなんですけど…」と伝えたら、職員さんは子供を眺めて、

「ああ、いいですよ。あなたたちで、たぶん最後ですからね。」

と、言ってくださいました。

優しい職員さんでよかった!

ホッとしながら、憧れのオオオニバスはどこ?とプールを覗けば…、なんと!

あちらこちら破れて、ちぎれて、哀れな葉っぱが一枚、沈みかけながら浮かんでいます…。

これが憧れのオオオニバス???

きっと夏休みに、何百人もの子供を乗せたのでしょう。

オオオニバスは、子どもの(親の?)夢の代償として、くたびれ果て、無惨に破れてしまっていました。

よく見ると、オオオニバスの下には薄いシートのようなもののが敷いてあり、そのおかげでなんとか沈没を免れているのでした。

かわいそうなオオオニバス…。

…でも、重量オーバーの子が、これに乗って大丈夫???

憧れは一転、不安に。

とはいえ、今更「やめておきます」とは言えない、私は気の弱い母親でした。

何がなんだかわからず引っ張られてきた子供は、わたしの横で、緊張で固まっていました。

二人の職員さんはプールに入ると、一人が子供を抱ききかかえ、もうひとりが葉っぱを支え、二人がかりでオオオニバスに乗せてくださいました。

そして肩で息をしながら親切に、

「記念写真を撮りますか?」

と尋ねてくださったので、なるべく急いで写真も撮らせていただきました。

パシャ。

オオオニバスの上で、ただひたすら緊張した顔の子供の写真が、今もアルバムに残っています。

 

理想と現実はいつも少し違うようで。

わたしの憧れが、少し形を変えて、叶ったときの話でした。

                (写真、yama-p)(きなこ)

写真をクリックしていただくと、じゃがいもスープをお聴きいただけます。

よかったらお聴きください。

今日がいい日になりますように♪

 

 

 

https://youtu.be/_OSPfuXJNvY

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2021年

8月

31日

アンデスのパワー

長雨で、庭のトマトは大被害を受けました。

今日からまたお天気が下り坂になるというので、雨に当たって実が割れないうちに収穫しました。

 

畑の先生(両親のことです())から、トマトは水をかけないほうがいいと言われて、今年の猛暑、一度も水遣りをしなかったのですが、トマトは夏の間中、鈴なりになり続けてくれました。

口の中でぷちっと弾けて溢れ出すトマトのこの水分、一体どこからきてるの?と不思議で仕方なかったのですが、長雨のあとで見たら、ブラシのような白い根っこが、あちらの枝からもこちらの枝からも伸びていました。

地面の上には、緑の葉がジャングルのように茂っていますが、地面の下では根が張り巡り、敏感に水分をキャッチしているのでしょうかね。

 

アンデスのパワーを感じています。

 

安本洋子さんの絵をクリックしていただくと、愛になれるをお聴きいただけます。

よかったらお聴きください。(絵、安本洋子さん)(きなこ)

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ブログ 「げんきなこ」ただひたすら団扇振りな日々